国鉄-JRの車両形式称号の規則

2001/8/6 作成
2009/12/23 更新

はじめに

国鉄-JRの車両には、運行管理の必要上から、 1両ごとに記号や番号が付けられている。 車両総数が多いこともあり、その命名規則に付いては関心を持つファンも多く、 鉄道ファン諸兄による詳細かつ正確な資料が多数存在し、 趣味誌や書籍などにしばしば掲載されている。 しかし、全ての車種について網羅的にまとめた資料は、 少なくともインターネット上では、それほど多くないようだ。 そこで、これまでに読み集めた知識をここに整理してみた。

以下で使用されている方式名などは、本webページ制作者独自のものが 殆どであり、一般には通用しない。 また、自分の記憶の整理のために作成しているので、 正確さに欠けることが多々あるかと思われる。 この点、閲覧される方はご留意願いたい。

主に私の記憶にたどって記述しているので具体的な出典は明示しないが、 以下の書籍・雑誌に掲載されていた知識が元になっている。 正確を期したい方は、それらをご覧になられたい。

書籍・ムック
書名出版社
100年の国鉄車両交友社
国鉄特急編成史/国鉄名列車編成史(急行普通列車編)弘済出版社
蒸気機関車のすべてグランプリ出版
蒸気機関車の挑戦NTT出版
名列車列伝シリーズイカロス出版
国鉄電車ガイドブック旧性能電車編誠文堂新光社
雑誌
雑誌名出版社
鉄道ファン交友社
鉄道ピクトリアル鉄道図書刊行会
鉄道ジャーナル鉄道ジャーナル社
JR貨物時刻表(社)鉄道貨物協会


日本の鉄道の歴史

本欄では、国鉄末期から現行の車両の番号を理解することを目的としている。 それなのに、何で「歴史」を書いてあるかといえば、以下の理由による。

車両番号のつけ方は、歴史的変遷がある。切り替えの際に、すべての 車両番号を付け直しているならば、過去の歴史を知る必要はなかろうが、 既存の車両については、過去の番号のままとするとする例も、これまで 多々見られるので、ここで簡単にまとめておく。

日本の鉄道は、明治5年の開業に始まるが、これは官営鉄道(官鉄)と呼ばる。 のち、民間資本を利用した全国展開がなされ、北海道炭坑鉄道、日本鉄道、 関西鉄道、山陽鉄道、九州鉄道などが設立し、全国の主要幹線が建設されていく。 この時点では、各社が独立して車両番号をつけていた。

当初は、単純に順番に番号がつけられていたようだが、 すぐに、類似の車両と異種の車両とは帳簿上でも簡単に区別が可能なように 番号が整備されていったのであろう。

日露戦争の後、国防上重要な幹線鉄道に対する鉄道国有化が行われた。 このため、同一企業体での車両数が急増したことになり、 これを機会に、車両の番号の決め方が全国的に整理され、 必然的に、番号の意味付けがなされる。

当初の想定になかった車両種別などが登場することで、 国有化直後に決められた番号では、やがて、収拾がつかなくなる。 こうして大々的な番号区分規則の変更が行われる。 機関車を対象としたものは昭和3年に、 客車を対象としたものは昭和16年に 行われたものが大規模な改訂である。 結果的に、機関車・客車は、これらが最後まで国鉄の車両番号の基本となる。

昭和30年代になると、車両数の急増が予想される電車と気動車について、 従来方式では番号が破綻することが目に見えていたので、 気動車を対象としたものは昭和32年に、 電車は昭和34年に大改訂が行われる。 結果的に、電車・気動車は、これが最後まで国鉄の車両番号の基本となる。 ただし、両者での規約には考え方に大きな相違がある。

昭和39年に、新幹線が開業し、これに使用する車両番号の 規則が独立に制定される。

気動車については、昭和43年に、番号の付け方の規約の大規模な変更が 行われたが、これは対象となる車両数が少なく、 昭和32年式を踏襲したものが、今でも主流派である。

現在のJRの車両番号は、基本的に、この規則を拡張したものとなっているが、 国鉄時代の車両称号規定に縛られなくなったので、国鉄の規定の拡張や 独自の規約が登場する。後者の例としてはJR四国が著しい。

以下のページでは、上記の歴史的区分に従い、便宜上、以下のように呼ぶことにした。
年式主な改正内容
明治40年式鉄道国有化時形式称号。全国規模での統一的命名がされる。
昭和3年式いわゆる大改正。電車と客車の分離。形式と番号との関係の大幅な変更
昭和16年式客車の形式と番号との関係の大改正
昭和28年式電車についての改訂、客車について一部小修正
昭和32年式気動車の形式と番号との関係の大改正
昭和34年式新性能電車について形式称号の追加。旧性能電車についての小変更
新幹線式新幹線車両について形式命名法を独立に規定。
昭和43年式新系列大馬力気動車についての形式番号規約の追加。
昭和62年式JR化に伴う車両形式称号(内容は、貨物を含む7社で異なる)

車両番号と型式番号について

元来、車両を管理するために車両番号をつけたのであるが、単純な通し番号だと どの車両で互換性があるのかなどの情報を独立に管理しなければならず不便である。 そこで、形式番号が発生するが、これと車両番号との関係は次の3通りの方式がある。
方式名内容例:2形式5両の場合
独立方式車両番号と形式番号とに関連をつけない。 形式が改まっても車両番号は続番とし、形式を示す数値はこれと 独立に進める。 1形=1,2,3
2形=4,5
合算方式車両番号の大きな区切り値自体を形式とする。 車両の番号は、型式を表す番号と同一形式中の番号との合計で表現される。 100形=101,102,103
150形=151,152
区分方式型式番号と車両番号とを特定の桁あるいは空白・ハイフンなどの 区切りでつないで表現する。 101形=101-1,101-2,101-3
102形=102-1,102-2
民営鉄道では、合算方式と独立方式の中間形態として 車両番号は通し番号で付け、形式が改まった車両番号の最若番を形式番号とする 方式も実在した。 (例えば、1形=1,2,3、4形=4,5とする)
区分方式と合算方式の中間としては、昭和3年式電車形式のように、 車両番号を必ず3桁で記述する(1は001と書く)としたものもある。 (モハ80 001などと書くが形式はモハ80)。
独立方式は国鉄・JRでは採用されたことはないようである。

いずれの場合でも、車両番号を1番から付番する考え方と、 0番から付番する考え方とがある。 例えば、昭和3年式電車形式では0番から(モハ80の1号車は、モハ80 000)で、 昭和3年式機関車形式では1番から(C62の1号機は、C62 1)である。

歴史的には、昭和3年の改訂で、大々的に合算方式から区分方式へと変遷した といってよい。ただし、客車は若干遅れて昭和15(?)年に、気動車は昭和33(?)年に、 貨車はJRになってから区分方式になった。 電車も昭和3年式では、区分方式と合算方式の中間ともいえる。
しかし、やがて、小規模な設計変更や詳細な用途区分の場合には、 わざわざ形式を変えることはせずに、 番号部の数字を大きく飛ばすことで区分を行うことがなされるようになった。 これを(少なくとも)愛好者の間では「(同一形式での)番台区分」と呼ぶ。 これは、ある意味で合算方式での形式と見なすこともできよう。

重複形式について

車両番号は、本来車両の管理番号であるから、番号の重複があってはならない。 車両形式番号についても重複がないようにするのが原則である。 ただし、何をもって重複と考えるかに複数の考え方がある。
重複判別方式名説明
純番号式番号だけで区別できないものは重複と考える。
用途記号付番号式用途記号と番号をセットで形式と考える。 しかし、重量記号などは形式を識別する要因とは考えない。
全記号番号式全ての記号と番号の組み合わせで見たとき 1つでも異なれば重複と考えない。
実際の国鉄/JRの形式称号では、時期や車両種類ごとに、 これら3つの考え方が混在している。


車両種別規則の紹介

以下のページで規則の紹介を行う。

部品記号の紹介

車両全体だけでなく、それに取り付けられる部品についても 標準化が行われるようになり、互換性が生じ、部品だけの交換・改修 などが生じるようになった。 このため、主な部品についても形式番号が定められている。

国鉄の場合、これらは英字2文字+数字2or3桁が標準パターンとして定着していた。 JR化後では、そのまま踏襲している会社もあるが、重複を避けるためか、 会社識別用の英字を1文字加えている場合が多い。

以下のページで規則の紹介を行う。


なお、ほとんどの車両の写真が、 国鉄形車両ファイル 掲載されています。(相互リンク)
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