気動車(具体形式)

気動車は、自在に連結可能であるように設計されていた時代が長かったが、 「系列」という概念は一応存在する。

気動車の動力車は、昭和3年式の電車同様、運転台の有無でカナ記号の区別がないが、 形式番号の1位が0〜4は両運転台、5〜9は片運転台または中間車が原則になっているが、例外もある。 なお、キクハは全て片運転台車である。

これに当てはまらない例および片運転台・中間車については 形式名の後に、以下の略号を添えて識別できるようにした。 また、基本形式に対する仕様変更形式、エンジン換装による派生形式についても同様に 記述した。
記号意味
(両)両運転台車
(片)片運転台車
(中)中間車
(北)北海道仕様車(特記ない限り出入台付)
(碓)碓井峠アプト対応仕様車
(強)強馬力エンジンへの換装車

国鉄史上唯一の気動貨車キワ90は、他に例がないため「貨車」と扱うか、 「気動車」と扱うか微妙なところだが、ここでは「気動車」の一部として掲載した。 2両しか製造されていないが、この車両の番号はキワ90 1、キワ90 2と 当時(昭和32年式)の気動車と同じ方式だからである。
なお、キワ90 2は1969年に改造されてキヤ90となっている。

昭和32年式

昭和43年以降に登場した形式であっても、この方式で命名された形式が 多数存在するので、ここでは、それも含めて紹介する。

この方式では、1エンジン車と2エンジン車とで番号が大きく離れるが、 実際には基本設計が共通する2バージョンで製造された形式が多く、 両者をまとめて1系列と扱うのが実態と合っている。 しかしながら、どちらの数字を「系列名」とするかは愛好者の間でも 合意がないようである。そこで、ここでは、 よく見かける呼び方が一方である場合はそれを、 そうでない場合は両者を併記したものを系列名とした。

特急形や大馬力エンジン搭載車のように、 1両の搭載機関数に2バージョンない系列については、 表ではエンジン数にまたがって、内容を表示した。
(特急形は、サービス機器搭載の関係で、同じ系列内に機関搭載数が異なる形式が混在する。)

本命名規約では、形式数値は2桁となっているが、JR化後に生じた改造形式では、 原形式に数字を1つ付加して3桁となっているものもある。これらも、ここでは、 原形式と同じ系列として掲載した。

系列内容特徴
1エンジン車2エンジン車
01系 キハ01、キユニ01 レールバス
02系 キハ02、キハ03(北) レールバス
04・05系 キハ04、キハ05 一般形、正面4枚窓
キハ04はガソリン車、キハ05はディーゼル車
ただし、キサハ04は雑形(キサハ40800,41800,43800を統合)。
07系 キハ07 一般形、丸妻
901は正面も改造したガスタービン試験車
08系 キハ08(両)(←改番:キハ40)、キハ09(片)(←改番:キハ45)、キクハ45、キサハ45 一般形、オハ61系改造気動車
09系 キハ09 電気式、湘南顔2・3扉、(中)(片)で区分なし?
10・17系 キハ10(WC無)、キハ11(WC付)、キハ12(WC付、北)
キユニ11
キハ16(片)、キハ17(片)、キハ18(中)、キハ19(中)
キロハ18(中)
キハユ15(片)
キハユニ17(片)、キハユニ18(片)
キハニ15(片)
キユニ15(片)、キユニ17(片)、キユニ18(片)、キユニ19(片)
キニ15(片)、キニ16(片)、キニ17(片)、キニ19(片)
キハ50(片)、キハ51(片) 一般形
11系(新) キハ11(両) JR東海、一般形
15系 キハ15(片)
キハユニ15(片)、キハユニ16(片)
キユニ16(片)
一般形、湘南スタイル
20系・52系 キハ20、キハ21(北・出入台無)、キハ22(北)
キハ25(片)、キハユニ25、キハユニ26(北)
キユニ21
キハ52(両) 一般形
23系 キハ23、キハ24(北)
キハ45(片)、キハ46(片・北)
キハ53 一般(近郊)形、パノラミックウィンドウ、両開扉
26系・55系 キハ26(片)
キロ25(片)、キロハ25(片)
キユニ26、キニ26
キハ55(片)
キニ56(片)
準急形、日光型
28系・58系 キハ27(片・北)、キハ28(片)
キロ26(中・北)、キロ27(中・碓)、キロ28(中)

キロハ28(中)、 キユ25、キユニ28
キニ28
キハ56(北)、キハ57(片・碓)、キハ58、キハ53-200(両)、キハ53-500(両・北)
キロ58
キニ58
急行形
29系・59系 キハ29(中・)、キロ29 キハ59(片・中)、キロ59、キサロ59 キハ28/58系改造ジョイフル車
30系 キハ30、キハ35(片・WC付)、キハ36(片・WC無)、キクハ35 通勤形
31系 キハ31 一般形、九州用ステンレス車
32系 キハ32 一般形、四国用、16m級
33系 キハ33 一般形、四国用
1000番台は50系客車改造
37系 キハ37(片) 近郊形
40系 キハ40、キハ47(片、両開扉)、キハ48(片・片開扉)
キハ400(JR北海道、強)、キハ480(JR北海道、強) キハ140(JR九州、強)、キハ147(JR九州、強)
一般形・近郊形
キハ40は、100番台(北)、500番台(寒地仕様)、2000番台(暖地仕様)
54系 キハ54
四国・北海道用、一般形ステンレス車、急行仕様もあり
65系 キハ65(片) 大馬力急行形
66系 キハ66(片)、キハ67(片) 快速形、両開扉
71系 キハ71(片)、キハ70(中) JR九州、特急形ゆふいんの森用
72系 キハ72(片/中) JR九州、特急形新ゆふいんの森用
75系 キハ75(片) JR東海、急行形
80系 キハ80(中)、キハ81(片)、キハ82(片)
キロ80(中)、キシ80(中)、キサシ80(中)
特急形
83系 キハ83(?)、キハ84(片) 80系改造ジョイフル形
85系 キハ84(中)、キハ85(片)
キロ85(片)、キロハ84(中)
特急形、ワイドビュー
90系 キハ90(片)、キハ91(片) キサロ90(中) 大馬力急行形試作車
92系 キヤ92(両) キハ07改造架線試験車
95系 キヤ95(片)、キサヤ94(中) JR東海、総合電気試験車
キワ90系 キワ90(片) 試作気動貨車


昭和43年式

昭和43年以降に登場した形式であっても、昭和33年式で命名された形式が 多数存在するので、ここでは、それらは含めずに紹介する。

JR発足直後に改造によって派生登場した以下の系列は、 形式的に3桁ではあるが、昭和32年式の系列に含めてある。
系列対応すべき系列
140系40系
400系40系

昭和43年式では、原則として片運転台動力車は奇数、中間動力車は偶数となっている。 そこで、これに当てはまるものは運転台識別略号を省略したが、 この原則に当てはまらないものや両運転台動力車は略号を付した。
系列内容特徴
100系 キハ100(両)、キハ101(?) JR東日本
110系 キハ110(両)、キハ111(片)、キハ112(片) JR東日本、一般形
120系 キハ120(両) JR西日本、一般形
125系 キハ125(両) JR九州、一般形、「黄色いDC」
126系 キハ126(片) JR西日本、一般形、山陰線用ステンレス
130系 キハ130(両) JR北海道、一般形、日高線用
141系 キハ141(片)、キハ142(?)、キハ143(?)、キサハ144 JR北海道、51系客車改造、札沼線用
150系 キハ150 JR北海道
160系 キハ160 JR北海道、日高線用
181系 キハ181、キハ180、キロ180、キサシ180 勾配線区用大馬力特急形
183系 キハ183、キハ182、キロ182、キハ184 キサロハ182、キサハ182 北海道向け特急形
185系 キハ185、キロハ186、キハ186 四国向け特急形、ステンレス
187系 キハ187 JR西日本、特急形、山陰線用ステンレス
191系 キヤ191(片)、キヤ190(片) 総合試験車、485系電車スタイル
200系 キハ200(片)、キハ220(?) JR九州、指宿枕崎線・大村線シーサイドライナー
201系 キハ201-100(片)、キハ201-100(中)、キハ201-300(片) JR北海道、快速形、函館本線山線用
261系 キハ261、キハ260、キロハ261 JR北海道、特急形、宗谷本線用
281系 キハ281、キハ280、キロ280 JR北海道、特急形、函館本線用
283系 キハ283、キハ282、キロ283(中)(→キロ282) JR北海道、特急形、石勝線用
391系 キハ391 ガスタービン試験車


昭和32年式以前

これには、客車形式から独立しているかどうかなどで、複数の時代に分わられるが、 具体的な型式番号は継承されているため、ここではまとめて記載する。 この時代、系列という概念はないが、ここでは、 趣味的見地から車体構造などが類似の物を独断で系列として区分した。 新旧形式は、(旧)は昭和3年式での該当形式、無印は昭和32年式での該当形式。

系列内容新旧形式車体の特徴機関変速方式
キハニ5000 2軸車。国鉄ガソリン動車の祖ガソリン歯車式
キハニ6450 明治45年頃の製造蒸気
10000系 キハ10000キハ01 レールバス。1次車。両端出入口。ディーゼルDS21歯車式
キハ10000キハ02 レールバス。2次車。中央出入口。ディーゼルDS22歯車式
キハ10200キハ03 レールバス。北海道向け。ディーゼルDS22歯車式
40000系 キハ40000 13m級。キハ41000を短縮設計。ガソリン歯車式
キサハ40800 キハの付随車化
41000系 キハ41000(旧)キハ36900 16m級。丸妻2扉。ガソリン歯車式
キハ41200ディーゼル歯車式
キハ41300キハ04ディーゼルDMF13歯車式
キハ41400キハ05ディーゼルDA58歯車式
キハ41500キハ06ディーゼルDA55歯車式
キサハ41800キハの付随車化
42000系
キハ42000キハ07 20m級。半円丸妻2扉。ディーゼル
キハ42200 天然ガス歯車式
キハ42500 ディーゼル歯車式
43000系 キハ43000(片)、キサハ43500(中) 流線型3連ディーゼル電気式
キサハ43800(中)キサハ04←電車付随車←キサハ43500
44000系 キハ44000(片)キハ09 湘南顔3扉ディーゼル電気式
キハ44100(片)
キハ44200(中)
キハ09 湘南顔2扉ディーゼル電気式
キハ44500(片)キハ15 湘南顔3扉ディーゼル液体式
45000系 キハ45000(片)
キハ46000(中)
キロハ47000
キユニ48000(片,非貫通;計画のみ)
キハユニ44100
キハ44200(中)
キハ44600(片)
キハ44700(片)
キハ48000(WC付)
キハ48100(WC無)
キハ48200(北)
キハ17
キハ18
キロハ18

キハユニ16
キハ19
キハ50
キハ51
キハ11
キハ10
キハ12
ディーゼル液体式
49000系 キハ49000
キハ49200(北)
キハ49500(片)
キハ20
キハ21
キハ25
ディーゼル液体式
44800系 キハ44800キハ55 ディーゼル液体式

昭和32年式までの形式については、以下の文献も参考にした。
鉄道ピクトリアル アーカイブスセレクション 13 国鉄の気動車

戻る