「日本の山」シリーズ 72
雲表の北岳 (3,193m)
鳳凰三山(南アルプス北部)から
日の出前の撮影で観音岳(2,841m)へ行くため小屋を5時前に出発した。暗闇の新雪の中をヘッドライトで照らしながら登った。出発の時から風は強かったが、薬師岳まで来ると遮るものがないのでさらに風は強く、体が飛ばされないようピッケルで支えながら一歩一歩進んだ。強風で雪が飛ばされた砂上と岩を越えて積雪の中をアップダウンしながら観音岳へ向かった。
観音岳頂上も強風の中で、カメラ・三脚の転倒しないよう北岳に対峙した。
日の出前から東の空は遮る雲がなく、北岳方面と鳳凰三山の間の野呂川谷合上に雲海がビッシリ埋まっていた。白峰三山方面へ陽が当たり始める頃は薄くピンク色に染め始めた。日の出とともに北岳の表情は素晴らしい色変化になった。
激しい色彩変化後、白峰三山は静かな厳冬の山稜の姿へと変貌した。