「日本の山」シリーズ 56
残照烈風の槍ヶ岳(3,180m)
燕岳(北アルプス)から
厳冬期の北アルプス燕岳からの雪稜上の雪煙は棲ざましい。この時期は日が沈むのも早い。
身体が飛ばされそうな中での三脚を立てての撮影は大変である。
なにが大変かというと、この烈風での自分の身体を確保しながらカメラブレをしないよう三脚を支え、さらに烈風の雪煙がカメラ本体に隙間があればどこからも入り込む雪を塞ぎながらの烈風が一瞬に止んだ時にシャッターを押さなければならない。
三俣蓮華岳、鷲羽岳方面に陽が沈む頃に槍ヶ岳が見え、さらに燕岳からの雪稜上の雪煙は棲ざましく、そこにまさに陽が沈む前のオレンジ色の残照が激しく強い衝撃の場面に出合った。
まさに千載一遇の場面に出合った。必死に身震いするほどの場面にシャッターを押し続けた。
氷点下20度位の寒さであったが、寒さを感じることなく夕闇せまるなかで満足感に浸った一時であった。