「日本の山」シリーズ 49
ハッセルブラッド 500CM ディスタゴン 50o
シュカブラ上の北岳(3193m)
仙丈ヶ岳(南アルプス)から
厳冬期の北沢峠へは、JR伊那北からバスで戸台口(高遠乗換え)まで行き、戸台から場所によって飛沫で凍ている戸台川に沿って3時間歩くと赤河原分岐に着く。ここから急登の八丁坂を2時間半ほどで大平山荘に着く。大平山荘の煙突からのたなびくけむりは何時見ても気持ちを楽にしてくれる。
35年前から旧大平小屋(現在の大平山荘)の故・竹沢重幸さん(2007年1月9日逝去)にはお世話になっている。特に厳冬期の甲斐駒、仙丈岳からの撮影のために60kg以上のカメラ機材テント関係一式をひとりで背負うことになる。この重荷で戸台からの入山だが大平小屋の煙突からのたなびくけむりを見た瞬間にすごい安堵感があり、「大平小屋のおじさん=たなびくけむり」が30年前から成立している。
今回の撮影山行もこの先の厳冬期の撮影テント生活の糧になる。
ここ烈風風雪後のここ撮影地・小仙丈ケ岳からは誰もいない白銀の世界である。
富士山に次ぐ標高第2位の厳冬期・北岳(3193m)の勇峰を撮影するため氷点下、寒風の中を三脚にカメラを据えて待ち続けた。ここ小仙丈ケ岳斜面は風雪が強く、その為にきれいなシュカブラ(風紋の跡)ができ北岳とのマッチした好適地を探すのも楽しい。
しかし、撮影中も容赦なく烈風が吹きつけ三脚を押え、かじかむ身体のなか烈風の止む瞬間を待ち続ける。この作品もその中の一点である。